『いつか古い友達からの手紙のように』

 

迷子の君を忘れたことはない

軌道を外れ消えてしまった

席は空けてあるさ

あの時からずっと

だってこの場所は君のものだろ

 

涙の海

癒えない傷

潰えそう希望 嗚呼

 

もしもこの声がどこへでも届くなら

どうか 撃ち抜いてあの深い闇を

Yes Yes Yes

 

どこへだって行けた

何にだってなれた

火星にだって

そう神様にだって

 

今は失意の底にいる人に

また微笑みが浮かぶ日が来ることを

ただ祈っている

願っている

信じている

 

嘆きの砂漠

消えない苦痛

萎みそう勇気 嗚呼

 

もしもこの声がどこへでも届くなら

どうか撃ち抜いてその深い闇を

Yes Yes Yes

 

いつか古い友達からの手紙のように

この声が

いつか古い友達からの手紙のように

届いて欲しい

Yes Yes Yes

『愛の惑星』

 

夜の静寂

彼女の寝息と横顔

闇を見つめている彼

そう傍らの彼は昼間の諍いを悔いている

今日までの感謝を彼女に

明日こそ伝えなきゃと思ってる

 

ここは愛の惑星

僕らが住む

ここは愛の惑星

僕らの日々

 

吹き荒れる嵐にも猛り狂う波にも

決して奪い取る事はできない

結晶のような何かを持ち続けている人がいる

その人は触れるものを癒やし涙を乾かし重い石をどかす

 

ここは愛の惑星

僕らが住む

ここは愛の惑星

僕らの日々

 

頬を撫でるそよ風が合図みたいに

心の奥に眠らせていた声を教えてくれたんだ

振り向けばそこには僕らが焼いた橋

言い訳のための時間は使い尽くした

生きることにしかもう興味はない

 

ここは愛の惑星

僕らが住む

ここは愛の惑星

僕らの日々

 

 

 

『この世界にとどまるために』

この世界にとどまるためにオレは
生まれてから今日まで
そう今この瞬間まで
ありとあらゆる権威に膝を折るフリをしてきた

この世界にとどまるためにオレは
“憎しみ”で出来たナイフで
今思えば自分によく似た連中
あの魑魅魍魎どもを切りつけてまわった

この世界にとどまるためにオレは
甘やかな
いやむしろ

腐臭さえ漂う“裏切りのワルツ”に合わせて踊った

この世界にとどまるためにオレは
公園の街灯の侘しい光
その向こうに微かに見える痩せた月に向かって声を限りに吠えた

この世界にとどまるためにオレは
夜の軍団を引き連れ
ブレーキの壊れた真っ赤なスクーターに乗って夜明けまで
何も願いを叶えてくれない神様に中指を立てながら
善と悪を入れ替え
盗めるものを片っ端から盗んでまわり
市営住宅の裏の空き地で戦利品を分け合い
秘密の音楽を大音量で流し今となっては再現不能な奇声をあげながら踊り狂った

だがしかし
それらはいつだってあっさりと
ギラつくあの太陽の光に焼き払われ
ゴキブリの死骸のような小さな黒い点に成り果ててしまったんだ

この悲しみと戸惑いの入り混じった名状し難い感情は
執念深いストーカーさながら
24時間365日何年もの間
どこへでもついてまわった
まるでオレをこの世界にとどまらせたくないかのように

時は誰も待たない
友達が消えた
誓いに似た約束を交わした仲間達だった
いつだって無理な体勢からシュートを打ち
ことごとく枠を外し続けてきたアイツが消えた
誰に止められても
自分で決めたルール以外には決して従わなかったアイツも消えた
奇跡も賞賛も逆転もなくあっけなく消えた
そして消えるのは彼等でなくオレであってもおかしくはなかった

同じ頃
オレのささやかな希望だった漆黒の闇を照らす数少ない星達も

次々と自ら輝くことをやめてしまった
世界は少しづつ暗くなった

徒労と倦怠の匂いが入り交じった風が
少年と少女のうなじを撫でる

壊れてゆく音
崩れてゆく音
沈黙の音
諦念の音
頭の中でループするそれら悲しみのシンフォニーがオレと
オレに似た誰かを打ちのめす

長い夢から覚めたかのよう
蒼い季節が終わったかのよう
死か栄光か
あるのは僅かなアディショナルタイムのみ

それでもまだ
どこからか微かに聞こえてくる
『生きろ』という声よ

『生きろ』
その理由はわからなくても
『生きろ』
その目的はわからなくても
『生きろ』
その先に何があるのかわからなくても

『生きろ』『生きろ』『生きろ』
呪文のようなその声よ

その声はもしかしたら
人間という種なら本来は誰もが持っていたはずの良心の響き

その声はもしかしたら

人間という圧倒的に愚かな生き物だからこそ生み出した得た美しき幻聴

いずれにせよオレは催眠術をかけられたようにその声に従うだろう
なぜならその声は
この世に現れる事象のほとんどを理解できなかった自分にとって
数少ない正しい事のように感じられるからだ

この世界にとどまるためなら
這いつくばっても
罵声を浴びても
嘲笑されても
かまいはしない
たとえ君に理解されなくても

悲しみなんてどうってことはない

季節が巡るのが見える
逝ってしまったあの人の声が聞こえる
あの人の晴れやかな笑顔が浮かぶ

もしも
君が消えてしまっても
オレはこの世界にとどまるだろう

その時は
オレの胸の中にいる君と共に生きるだろう

この世界にとどまるために
オレは何もかもすべて全部みんな
抱きしめたいんだ

あの時果たせなかった抱擁を今こそ
この世界にとどまるために

 

 

 


 

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