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『夜を泳ぐ』





コロナ禍


覚悟する間もなく父を失くし

予期せぬ形で年若い知人を見送り

病に苦しむ仲間に何もできず

(所謂)分断というものを目の当たりにし

様々な世の不条理に心揺さぶられ続けてきた


それでもまだ

活動ができる

できている

できそうだ

という事に

(いつか終わりを迎えるのが確実だとしても)

その幸運には

素直に感謝せずにいられない


そして

音楽はもちろん

その他のあらゆる

魂を奮い立たせてくれるものに


それは

スゲー上手いラーメンを

適正価格で提供している

我が街の寡黙なご主人や


ちびっ子達の安全を守らんと体を張る

リタイアされて第二の人生を歩む

ライ麦畑のキャッチャーのようなおっちゃんや


改札を出たところで

左手で父と(思しき方と)手を繋いでいるのに

なぜかその右手を

見知らぬ私の左手に絡ませてきたキュートな幼児や


恩着せがましい事を何もせず言わず

ただただ信頼を寄せてくれる友人や、、、


そういったものを含む


空の青さや

雲の描く絵画や

打ち寄せる波の鼓動や

木々の緑の濃淡や

さえずる小鳥の歌や

名も知らぬ小さな花の可憐さや


そういったものも含む


このクソ忌々しい世界を

「それでももう少し生きてみよう」

と思わせてくれる全ての表現に

そう、魂を奮い立たせてくれるあらゆるものに

感謝と敬意を表す


黒水伸一TRIOのメンバー


それは黒水伸一と伴慶充と信夫正彦と

そして君だ


少し照れはするが

昔はわからなかったが

そう思えるくらい

そう言えるくらい

オレももう大人になったよ


だから

ほどほどに元気でいて欲しい


できれば

まだまだ

これからもよろしく



『夜を泳ぐ』


十六夜

あのタワーの向こう

街を照らすスポットライト


Young at Heart

今夜このまま

あの頃みたいに歩こう


皺は増え

髪もグレイになった

街の景色が変わった


仕事も

日々の暮らしも

夢見たのとは違うけど


かまわない

これでいい

ただ今日を生きてくだけ


僕らは夜を泳ぎ

美しい朝を待つ


互いの無事を祈り

幸せであれと願う


長過ぎた沈黙も

耐えがたかった喪失も

裏切りも怒りも憎しみも

もう手放していい頃さ


かまわない

それでいい

ただ今日を生きてくだけ


僕らは夜を泳ぎ

美しい朝を待つ


互いの無事を祈り

幸せであれと願う


ありふれたものなんてない

許されざる者なんていない

儚く散りゆくものよ

その輝き忘れない


僕らは夜を泳ぎ

美しい朝を待つ


互いの無事を祈り

幸せであれと願う



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